木魚歳時記 第1927話

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 あらゆる生きものに対して暴力を加えることなく、あらゆる生きもののいずれをも悩ますことなく、また子を欲するなかれ。いわんや朋友(ほうゆう)をや。犀の角のようにただ独り歩め。(スッタニパータ)

 犀(さい)の角(つの)とは、すなわち「独り歩む修行者」の比喩(ひゆ)として用いられたものです。東南アジアにおいて犀(さい)は、偉大な動物と考えられていたのでしょう。すなわち、犀の角は、伝説上の動物であるユニコーン(一角獣)のように、崇(あが)められる存在であったのでしょう。求道者は、他の人々の毀誉褒貶(きよほうへん)に惑わされることなく、自分の信じた道を歩むべきと諭(さと)されたのです。

       糞虫の行つたり来たり春障子

                     糞虫(くそむし)