木魚歳時記 第1733話

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 悪いワニ

 ボサツのところに猿がやってきて「水を飲むことができず困っています」という。ワニが池のほとりに棲みついたので怖くて水を飲むことができないのです。なるほど、猿が池の方に向かった足跡はありますが戻ってきた足跡はありません。そこでボサツは「葦(あし)よすべて空(うつろ)になれ」とそう唱えてぷうと吹くとあら不思議、葦の中が空(うつ)ろになりました。猿たちもみんなおなじように真似をして、池のまわりをぐるりとかこみ、葦を手に池の水を飲みました。悪いワニはしかたなく池の底へともどってゆきました。

     天辺に登りつめたる恋の猫