木魚歳時記 第1734話

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 兎の施(ほどこし)

 猿と、山犬と、獺(かわうそ)と、兎の四匹が仲良く暮しておりました。或る日、ボサツさまが来られることになり、四匹のそれぞれが施(ほどこし)をしようと、猿は木の実を、山犬は獣肉を、獺は魚を、それぞれ獲ってまいりました。ところで、兎の家には豆もなければ米粒もない、そこで、思いあまって「わたしが焼けたら召しあがら」そう叫ぶなりと兎は焚き火の中に跳び込もうとしました。そのときボサツは、しっかりと兎を抱きしめておっしゃいました「兎よ、おまえの行為は長く世に伝わり、世の中を幸せにするだろう」。そういい残して去って行かれたということです。

      大寒やあと十年は生きてやる