木魚歳時記 第1866話

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性悪のワニ

 猿たちが、ボサツさまのところにやって来て「水が呑めずに困っております」といいました。ワニが池に棲みついて、それで怖くて水が呑めないのです。ボサツさまが調べてみると、なるほど、池の方に向かった足跡はありましたが、池から戻ってきた足跡はありません。そこで、ボサツさまは「生えている葦(あし)よすべて空(うつろ)になれ」と唱えて、プウと吹かれると、葦の中が空(うつろ)となりました。これを真似て猿たちもおなじように、プウと吹いた葦(あし)を手に、池のまわりをぐるりと囲み、上手に池の水を飲むことが出来ました。そこで性悪のワニも、手出しができずに池の底へと戻ってゆきました。(『比喩経』) 

       老鯉のさむい寒いとまた潜る