木魚歳時記 第789話

f:id:mokugyo-sin:20131227091104j:plain

 昔、上長者町(かみちょうじゃまち)のあたりに、紀の伊国屋道林(きのくにやどうりん)という大商人がいた。

  「おとなりなりて、
      よろず悪しき心あるなり」(無住「雑談集」)

 或る時、長者の手が痛みだし治らない。そこで、弘法大師(こうぼうだいし)が刻(きざ)まれた石の地蔵(じぞう)を祀る石像寺(せきぞうじ)に、願(がん)かけ参りをしたのじゃ。その満願(まんがん)の夜、地蔵(じぞう)さまが夢枕(ゆめまくら)で「汝(なんじ)、前世に呪(のろ)はれ、八寸の釘(くぎ)を打たれた。いまそれを抜き取れり・・」と、二本の釘(くぎ)を示された。そして目覚めると手の痛みは消えていたそうじゃ。以来、寺は「釘(くぎ)抜きさん」と親しまれているそうな。<石像寺:千本上立売上ル>

     麗かや雛妓小股の切れあがる