昔、平安京に河原院(かはらいん)というお屋敷があったそうな。そこで貴族たちが詩歌管弦(しいかかんげん)を楽しんでいたそうな。
「ひょっとすると<人間>は<出来損ない>
じゃあるまいか?」(八木重吉「断章」)
その後、家康(いえやす)が、河原院(かはらいん)の屋敷の跡に上徳寺(じょうとくじ)というお寺を建立(こんりゅう)した。そして境内(けいだい)に、お地蔵(じぞう)さまを祀(まつ)る地蔵堂を建てた。ところで、或る夜、住職の夢枕(ゆめまくら)にお地蔵(じぞう)さまが現れて「我が願いは、世の子なき者に子を授けることなり」。と、告げられたそうじゃ。この話が伝わって、この寺は<よつぎさん>と呼ばれるようになった。それから、子宝を願う者や、水子供養(みずごくよう)の参詣者が絶えないそうな。<上徳寺:富小路通五条下ル>