木魚歳時記 第122話

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山車の ベンツと並ぶ 交差点

花果山(かかざん)

 この傲來国(ごうらいこく)に花果山があり、山巓(さんてん)高く聳え、丹色(にいろ)の断崖に奇岩ならび、霊松風を孕んで厳か、と、まことに絶景を誇っております。

 さて、花果山の中腹に「睡廉洞」(すいれんどう)あり、あの<ハヌマーン>の子孫という金毛猿が、四、五千匹も棲んでおります。こういってしまえば、支那の猿山、埼玉の猿村、古都の猿寺…とお考えでしょうが、そうはゆきません。
 というのは、この花果山には、金毛猿の外に、狼、虎、大鹿、のろ、めすぶた、狐、狸、穴熊、むじな、獅子、象、猩猩(しょうじょう)、熊、山牛(のうし)、羚羊(かもしか)、狡兎(うさぎ)、山犬…といった獣類。それから、仙狐、古狸、山姥などの妖怪も巣食っており、ですから、老虎が<猿の塩漬>で酒盛をした。仙狐が猿姫に悪さした…このような事件は日常茶飯事でした。