木魚歳時記 第132話

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滴りて 滴りてなほ 大悲かな

花果山に帰る

 「補陀落(ふだらく)に悟空あり」と、すっかり有名になった悟空でありますが、頭から消えないのは、やはり「不老不死」のことです。
 禅師に尋ねると、なんでも、天帝の催される幡桃(ばんとう)会の催しがあって、そこに招待されるのは、昔から、西天の佛・菩薩さま、十州の仙人にきまっていますが、そのとき幡桃園でとれた桃がふるまわれる。これを食うと、四、五百年は寿命が延びる、つまり、幡桃会に招待されると、毎年、五百年は寿命が延びるわけです。
 これを聞いて、悟空の目は怪しく輝きましたが、そのことはさておき、禅師の「教えるものはない」の一言で、涙ながら暇を請い<きん斗雲>で、一飛び古巣の花果山に戻ることにいたしました。