2013-12-24から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第551話

「不動明王」(ふどうみょうおう)の略です。これは「動かざる尊者」の意味となります。不動は、ヒンズーの神々とは違い、インドの山岳系俗神の一つともいわれ、「明王」(みょうおう)の名のように、密教特有の尊格を有するものとされます。大日経の中には…

木魚歳時記 第550話

「摩利支天」(まりしてん)は、サンスクリット語でマリーチといい、これは<光線>を意味するところから、陽炎を神格化したものといわれています。 インドの神話で、摩利支天はインド神話における六大仙人のひとりで男神とされます。一切の災禍を除き利益を…

木魚歳時記 第549話

「吉祥天」(きちじょうてん・きっしょうてん)は、幸福をもたらす女神、美と富と繁栄をもたらす女神とされています。また、伝説としては鬼子母神を母とし、毘沙門天の妃であった・・とも伝えられています。 日本においては、この女神を祭って天下泰平、五穀…

木魚歳時記 第548話

「毘沙門天」(びしゃもんてん)は、やはりヒンズー教の神です。福徳の名が遠くより聞こえるというので「多聞天」(たもんてん)とも呼ばれ、また、富の神として財を授けるところから、「財施天」(ざいせてん)とも呼ばれます。 毘沙門天は、仏教に取り入れ…

木魚歳時記 第547話

「愛染」(あいぜん)とは、「愛染明王」(あいぜんみょうおう)の略で、女性の幸福と美しさを守る神さまであります。谷中永法寺や大阪四天王寺の愛染堂には、粋な玄人すじの参詣が絶えない・・と聞いています。 おふくろのことも・・ぼくが子ども(4、5歳…

木魚歳時記 第546話

「聖天」(しょうでん)とは、「歓喜自在天」(かんぎじざいてん)を略した呼称で、その形像の多くは、象頭人身の男神や、また、男神と女天の抱擁像も多いところから、夫婦和合、子授けの神さまとして信仰されています。 子どものころ、おやじ(師僧)が「聖…

木魚歳時記 第545話

「仁王」(におう)さんとは、大寺院の門の左右に守護神として安置されている金剛力士像のことです。二体で「阿吽」(あうん)を表現しているともいわれ、仏教の守護神として、最も親しまれているわりにはルーツのはっきりとしない神です。 仁王は「二王」(…

木魚歳時記 第544話

「大黒天」(だいこくてん)は古いインドのことばで「マハー・カーラ」といいます。直訳すると「偉大なる黒き神」という意味になります。また、大黒天はヒンズー教最大の神とされるシヴァ神の別名の一つとされています。 ところで、日本では<大黒さま>とい…

木魚歳時記 第543話

「韋駄天」(いだてん)は、やはり仏教の守護神であります。仏教の世界観における「増上天」(ぞうじょうてん)を守る八大将軍の一人に数えられ、また、四天王の筆頭とされています。 韋駄天は、もとはバラモン教の神です。シヴァ神の子で、悪魔を打ち破る軍…

木魚歳時記 第542話

「阿修羅」(あしゅら)の語源となる「アスラ」は、アーリア人のインド進入以前にさかのぼるともいわれています。それはともかく、アスラは、強力な支配力を持つ神の意味に用いられていたようです。 仏教においても、人の生存中の行為によって、死後、つぎの…

木魚歳時記 第541話

映画『男はつらいよ』の舞台となる柴又の「帝釈天」(たいしゃくてん)は有名です。この帝釈天は「インドラ」といって、インドにおいても最古の神とされます。 インド最古の聖典である『リグ・ヴェーダ』に登場するインドラは、勇猛果敢な英雄、神の中の神と…

木魚歳時記 第540話

「弁才天」(べんざいてん)も、毘沙門天(前述)とおなじくヒンズーの神です。ほんらい、芸術や弁舌の女神として信仰を集めていたようですが、後世「弁財天」と当て字されるようになってから、財宝の神としてのイメージも定着していったようです。 日本にお…

木魚歳時記 第539話

「毘沙門天」(びしゃもんてん)は、仏教の守護神です。(仏教の世界観である)須弥山(しゅみせん)世界の四天王として、夜叉、羅刹(らせつ)を従え、北方を守る神とされてます。 毘沙門も、もとはヒンズー教の神です。古いインドのことばでクペーラと呼ば…

木魚歳時記 第538話

古代インドの叙事詩に現れてくる「夜叉」(やしゃ)は、魅力的な若い女性として描かれ、突然にその姿をみせて、若い男を翻弄する鬼女、そんなイメージがあります。 夜叉は、仏教を守護する(八種の神的なもの)「八部衆」(はちぶしゅう)として仏教にも取り…

木魚歳時記 第537話

鬼子母神(きしもじん)は、500人の子を持ちながら、人の子を盗む鬼女の物語として、インドに由来するものです。 物語のあらすじは、鬼子母神のもっとも愛する息子プリヤンカラがある日突然行方不明となった。狂気のようになった鬼子母神は、しかし、どう…

木魚歳時記 第536話

地獄が出たなら「閻魔」(えんま)さまも・・閻魔さまは、インドの文献はもとより、イランの聖典にも登場する古い神であります。 イランやインドの古い文献や物語に登場する閻魔は、獄主、獄帝と呼ばれ、死者の生前の罪を裁く王と考えられていました。閻魔大…

木魚歳時記 第535話

ヒンズー教でいう「地獄」すなわち「奈落」(ならく)については前述しました。ここでは仏教の「地獄観」(日本)について見てみましょう。 源信僧都(げんしんそうず)という方が書かれた『往生要集』(おうじょうようしゅう)という書物の中に書かれた「地…

木魚歳時記 第534話

「奈落」(ならく)は、インドの古語・ナラカの音訳だそうです。ナラカとは、仏教以前よりインドにあったヒンズー教で説く「地獄観」(じごくかん)のことです。 ヒンズー教で説く地獄観とは、どのようなものであったのでしょうか。ヒンズー教では、三つの世…

木魚歳時記 第533話

「袖振り合うも他生の縁」と用いられる「他生」(たしょう)のことです。その意味は狭義には「前世で結ばれた縁」という意味になります。 広義に「他生」の縁とは、現在の生以外の<他の生>つまり、前世と来世をも含めた縁ということになります。ただし、来…

木魚歳時記 第532話

「末法」(まっぽう)は、「正法」(しょうぼう)、「像法」(ぞうほう)、「末法」(まっぽう)と続く仏教の時代観であります。その内、末法は仏教が衰退するであろう時期を指しています。 末法思想は、6世紀ごろインドに現れ、すぐに中国に伝わったとされ…

木魚歳時記 第531話

「輪廻」(りんね)とは、「流れること」を意味し、引いては「さまざまなものに生まれ変わる」ことをも意味します。 前項で述べたように、インドにおいて「業」(ごう)の力は、過去・現在・未来へと存続するところから、この輪廻の思想が生まれてきたのです…

木魚歳時記 第530話

「どうした因果か・・」と用いられます。これも前項とおなじく、仏教のことばと考えられていますが、実は、古いインドの一般的な考え方です。 「結果Bとなるには、原因となるAがあった」。これが時間的に、過去・現在・未来と、繰り返えされる・・これが「因…

木魚歳時記 第529話

「業」(ごう)とは、「業が深い」とか「自業自得」とかいう・・あの業のことです。仏教の典型的な言葉と受け取られがちですが、そうではありません。 業は、インドの古語で<行為>という意味であります。古代インドでは、よい行為をすれば、現世あるいは来…