木魚歳時記 第545話

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 「仁王」(におう)さんとは、大寺院の門の左右に守護神として安置されている金剛力士像のことです。二体で「阿吽」(あうん)を表現しているともいわれ、仏教の守護神として、最も親しまれているわりにはルーツのはっきりとしない神です。

 仁王は「二王」(におう)と書くのが本来的に正しいとするならば、「二体で一つ・・」「一つのことを裏表で・・」 と考えるのは当然で、阿吽(あうん)を現わすというのは、その典型的な例であります。ぼくは、その「二つのことが何か」を追求することより、(寺院の表門を守る)仏教の守護神の代表的なものとして、時代の仏師たちが、畏敬の念を込めて仁王像を彫り続け、その作品である仁王像に畏敬の念を感じてきた庶民信仰のありかたこそ大事なものと考えています。仏教美術の面からは、法隆寺中門像、東大寺南大門像などが有名です。

   しぐれ来て一つ噂を生みにける