木魚歳時記 第535話

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 ヒンズー教でいう「地獄」すなわち「奈落」(ならく)については前述しました。ここでは仏教の「地獄観」(日本)について見てみましょう。

 源信僧都(げんしんそうず)という方が書かれた『往生要集』(おうじょうようしゅう)という書物の中に書かれた「地獄」のことが有名です。それは「八大地獄」といわれるもので、わかりやすく誇張すれば、血の池とか、針の山とか、炎の中とか・・およそ悲痛な叫び声を上げたくなるような「地獄」の内容が説かれています。また、これをもとに、中世以降、いろんな絵草子などが描かれましたから、みなさんも一度はご覧になられたことかと思います。ところでなぜ、こうした「地獄観」が説かれ、描かれ、そして庶民に受け入れらたか?その社会的な背景を探ることが大切ですが・・それは項を改めて考えましょう。

   蛇塚にこもる匂ひや初しぐれ