木魚歳時記第4689話
文覚の顔を立てて一度斬ることをやめた維盛の子六代が、僧として行いすましているのを捕えて頭は剃るとも心は剃るまい殺させたは頼朝自身の死の前年であった。せっかく助けた六代を二十年近く後に殺さねば気のすまなかった頼朝は、むかし出家するといって平家に助けられた自分が後年平家を滅ぼすに至ったのを思い合わして六代を生かして置けなかったのであろう。六代を殺したのは頼朝が自身を罰したようなものでなかろうか。六代こそいい迷惑である。(佐藤春夫『極楽から来た』)1326
寝座からぬつと出て来る冬の鵙 鵙(もず)
「ボクの細道]好きな俳句(2426) 矢島渚男さん。「緑陰に話して遠くなりし人」(渚男) 「話して」をどう読むか? 作者と、木陰で話し込んで、しれからしばらくして去った人。「緑陰」(りょくいん)、すなわち、緑したたる、というより、暗黒の中で、何かブツブツつぶやいてから、静かに去って行った人物。ボクは後者であると読みました。
なにもかも、せかいのものわ、
なむあみだぶつ。
これに、わたしが、やしなわれ、
ごんうれしや、なむあみだぶつ。
『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)