木魚歳時記第4056話

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 法然は師匠が何を云おうとしたかを、ほぼ察したころに、師匠はいい出した。
「法然房、そなたも、もう壮年の男子になっている。不良ではあるまい。よもや、女人の色や香に無頓着ではあるまいがの?」
 ほぼ察しはがついていたというものの、遠巻きから、一転してこの短兵急の奇襲には、さすがの法然房もちとひるんだ形であったが、こんな場合、ほかに手はない。真実をもって立ち向かうばかり。
(佐藤春夫『極楽から来た』)722

       老僧の二度寝は贅か竈猫  贅(ぜい) 竈猫(かまどねこ)

「ボクの細道]好きな俳句(1803) 長谷川櫂さん。「日がさして熟柿の中の種みゆる」(櫂) まあ、なんと繊細というか・・五感のうちの「視覚」を効かせた作品です。映像に「虚実」の両者が許されるとしたら・・ボクは、「虚」の方に魅力を感じるタイプです。写生(実)を追う方が「いきづまり」はも避けられるでしょうが・・それにしても熟柿が透けて見えるとは!

 カナリア5  練り餌をやると、自分たち同類の鳥が巣を作る。至極あつらえ向きの捏土(こねつち)だと思いこんで、ただ本能的にその上にうずくまる。