木魚歳時記第4065話

f:id:mokugyo-sin:20191218055426j:plain

 「やっぱり氾濫していますか」
 叡空あ黙ってうなずいた。そうしていう。
「法然房そなたは知るまいが、山法師どもは、このごろ酔っぱらうと、こんな今様を歌うと申すことだ。
  真言教のめでたさは 宝塔宮殿へだてなし 君をも民をも押しなべて
  大日如来と説いたまふ
 とさ。」
(佐藤春夫『極楽から来た』)732

       冬の蚊のいたく気弱になりにけり

 「ボクの細道]好きな俳句(1812) 長谷川櫂さん。「運ばるる氷の音の夏料理」(櫂) お料理に添えられた氷が、食器に触れてかすかな音を立てる。まことに夏料理の彩まで目に浮かんできます。仲居さんの配膳のさなかに、そんな微妙な音が聞き取れるのか? それは理屈というものです。五感の「音」を描いて見事な作品です。

 カナリア13 ところが、私はランプを吹き消してしまう。で、残念ながら、彼のうろたえる顔つきは見えない。