木魚歳時記 第1912話

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 (ダニアに対して)師は答えた。「わたくしは怒(いか)ることなく、心の頑迷(がんめい)さを離れている。マヒー河の岸のほとりに一夜の宿(やど)りをなす。わが小舎(自身)は発(あば)かれ欲情の火は消えた。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」(スッタニパータ)

 師とは釈尊のこと。繰り返し述べられる「神が雨を降らす」とは、古代インドにあっては、個々の自然現象の背後には神がいて、それぞれの自然現象を支配していると考えられていました。つまり、自然現象に対する恐れ、畏敬(いけい)の念が、常々、人々の心を支配していたわけです。発(あば)くとは真相を明らかにすること、すなわち、世の真理を悟ることで自身の(欲情の)火は消えた。たとえ、神が(自然の猛威となる)雨を降らそうともわが心の静寂は変わることがない。

       冴返るアンダルシアのモスク群