木魚歳時記 第1913話

f:id:mokugyo-sin:20140317043926j:plain

 牛飼いダニアはいった「蚊(か)も虻(あぶ)もいないし、牛どもは沼地に茂った草を食(は)み、歩む。雨が降ってもかれら(牛たち)は耐え忍ぶであろう。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら雨を降らせよ。」(スッタニパータ)

 牧草地を遊牧して歩く遊牧民にとって(日々の暮らしに直接にかかわる)自然の状況と、その自然を支配すると考えた神々に対していだく畏敬の気持ちは大きい。しかし、雨(苦難)が降ってきたとしても、かれら(牛たち)は耐え忍であろう。それどころか、牧草地には(わずらわしい)蚊(はえ)も虻(あぶ)もいない。このことは、師(釈尊)の教えと出会えてこそ得られた幸せである。牛飼いダニアはこの<心の幸せ>に感謝する。(蚊・虻=日常の小さな苦難の比喩)

       春昼のどこもうごかぬ風見鶏