木魚歳時記 第1901話

f:id:mokugyo-sin:20140305052603j:plain

 「激流が弱々しい葦(あし)の橋を壊(こわ)すように、すっかり驕慢(きょうまん)を滅し尽くした修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。―蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。」(スッタニパータ)

 「驕慢」とは、驕(おご)り高ぶること、<うぬぼれ>ることです。仏教ではこれを煩悩(ぼんのう)の一つに数えます。さて蛇について。『スッタニパータ』の冒頭(ぼうとう)に蛇が登場しました。インドの風土的背景(当時)からすれば、蛇は、どこにでも見かけることができた身近な生きもの(毒蛇を除き)であったことでしょう。また、その特異な体型や行動から、蛇に対する<畏敬>の念があったことも容易に想像されます。仏像や神像に蛇が彫られたり描がかれたりするのは、蛇がその霊力を以て、神や仏を守護すると信じられていたからです。

        陽春の裏寺町を猫歩き