木魚歳時記 第1903話

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  「内に怒ることなく、世の栄枯盛衰(えいこせいすい)を超越(ちょうえつ)した修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。―蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。」(スッタニパータ)

 欲望一つである「栄枯盛衰」を捨て去った修行者は、もはや、欲望が満たされないことより起こる「怒り」を抱くことはない。すなわち、修行者は、この世(苦行)とか、かの世(悟りの世界)の隔たりについて<こだわる>ことがない。この世(苦行)に疲れ果てたシッタルタ(修行時代の釈迦)は、村娘スジャータの捧げるヨーグルト(乳粥)召しあがられ、かの世(悟りの世界)すなわち「自在」(ありがまま)の境地に至られました。このことを「蛇が脱皮して旧い抜け皮を捨て去るようなもの。」と説くのです。 

        濃密の中の陰影サイネリア