木魚歳時記 第1902話

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  「無花果(いちじく)の樹林の中において、花(蓮華の)を探し求めても得られないように、諸々の生存状態のうちに堅固(けんこ)なものを見出そうとしない修行者は、この世とかの世とをともに捨て去る。―蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。」(スッタニパータ)

 「堅固なものを見出そうとしない」とは、つまり「無常」(むじょう)を悟るということです。この世の<すべてはうつり変わる>という真理を悟るということです。さて、繰り返し「蛇が脱皮して旧い皮を捨て去る」と述べられます。これは、怒り、妄執、驕慢(きょうまん)、堅固(執着)などの「煩悩」から脱皮することです。蛇に対する、恐れ、畏敬(神秘性)も含めて、修行者は、煩悩から悟りの世界へと<蛇が脱皮するごとく>さわやかに転身することを示したものです。

        幻の鳥の形にヒヤシンス