木魚歳時記 第762話

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 七十年。精進(しょうじん)とはいえないが、まじめな暮らしができました。知恵とはいえないが、個性的な生き方ができました。愉快なことでした。

    「知恵は精進より来る」(大乗の十来)6

 男が修行に努めていた。そこに鬼が現れ「諸行無常(しょぎょうむじょう)」「是生滅法(ぜしょうめっぽう)」の偈(ことば)を与えた。つづく偈(ことば)のあることを知った男は「教えてほしい」と請(こう)うた。しかし鬼は「腹が減っている。おまえを食わせるなら教えてやる」と答えた。「わたしの体をさしあげましょう」そう約束した男は、つづきの「生滅滅己(しょうめつめっち)」「寂滅為楽(じゃくめついらく)」の偈(ことば)をおそわり、身を投じようとした。帝釈天の姿に戻った鬼は「あなたこそ仏になりたまうと」と。

     訪れの音に音なし春の雨