木魚歳時記第4229話

f:id:mokugyo-sin:20200602050644j:plain

 司令はすべて中宮大夫であったが、席を立って命ずると、やがて管弦が湧きおこり、賀王恩(かおうおん)の曲を吹きながら御前の庭を渡る間を、蔵人所(くろうどどころ)の面々が舞人たちにかざりの花をくばっている。左の組は尾の上の桜、左は井出の山吹であった。
 用意が整うと衆人らは舞人たちとともに龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の船に乗り込んで、また賀王恩を奏しつつ中の島を漕ぎめぐってから、楽屋の岸に船が着く。
(佐藤春夫『極楽から来た』)886

     まくなぎにつきまとはれて雲母坂  雲母坂(きららざか)

 「ボクの細道]好きな俳句(1971) 岡本 眸さん。「さも貞淑さうに両手に胼出来ぬ」(眸) 胼」(ひび)とは、皸(あかぎれ)のことでしょう。さて、赤ん坊は空腹になると母乳を求めて泣きます。泣き声の外にも全身を使って、お母さんへ「おねだり」のサインを送ります。そして満腹するとウソのように、サインを止めスヤスヤと眠りに入ります。 前述の「(吾れ唯)足ることを知る」とは。母乳に満足しきったときの赤ん坊の「安定感」のようなものです。

  わたしや、しやわせ、
  し(死)なずにまいる。
  い(生)きさせまいる上(浄)どをが、
  なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)