木魚歳時記 第68話

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茶の花や 風のいたずら 片笑窪

 「あたい悲しくなりました」。豆八姐さんは青大将やいろんな<けもの>たちと棲んでおられます。その豪邸に柿ノ木があって、一つ残していた「ずくし」を目白がきてほじってしまった。嗚呼、無常。皮とヘタになった残骸を見て、何か連想されたようです。

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 「姐さんは<いろは歌>を知っていますか?」。それは「色は匂へど、散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ…」(前半)です。「色」とはもちろん<色香>のことではありません。それは形あるものもの、現れてくる現象を指します。つまり、この世の形ある<もの>や、現れてくる<現象>は「常に変化していく」という意味です。中でも「生・老・病・死」はその代表格といえます。 「世の中のすべてはうつリ変わる」。これを科学的用語を用いて説明すると「熱力学第二の法則」(エントロピィーの法則)となります。この大自然の法則)に気づかれ、この法則を「諸行無常」(しょぎょうむじょう)の真理として説かれたのが釈迦の教え「仏教」なのです。