木魚歳時記 第69話

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湯煙や 落葉と浮かぶ 山の宿

 「わたしの季節となりました」。大空から降りてくる一粒の水滴が結晶となり雪に変わります。小雪さんが舞い降りるのです。真之介はパッチ装備で、毎日、木の葉を掻いています。
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 「小雪さんの出番です」。天から降ってきた一粒の水滴が、かさなりあって川となる。いくつかの川がよせあい河となりゴウゴウと流れていく。かぎりない<いのち>を育てながら海に向け流れてゆく。一粒の水滴に環り、天に昇る日を待ちながら…
 この「天(浄土)→海(この世)→天(浄土)」という大宇宙の循環が水の惑星・地球を誕生させました。そして、すべての<いのち>を生みだしてきたのです。遥か2500の昔、遠くインドの地にあって、この大自然のスペクタクル(循環)に気づかれ、それを「諸行無常」(すべてはうつり変わる)の真理として説かれたのが、釈迦の教え「仏教」なのです。