木魚歳時記 第21話

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鶯の 知恩と啼いて 華頂山

 知恩院さんは、浄土宗の総本山です。ぼくは中坊主のとき、知恩院さんに勤めていました。宿直の晩には堂内を巡回します。真っ暗な「うぐいす張り」廊下を歩くと、‘きゅっきゅ’と啼いたのを覚えています。いまの大黒さんとも、知恩院で遭遇しました。いつも、彼女に悪さして‘きゅっきゅ’泣かしていました。その報復でしょうか?いま、ぼくが‘きゅうきゅう’泣かされています。

 知恩院の玄関に「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)と張り紙がしてあったように思います。これは「足もとに注意せよ!」との意味です。真理を外に求めるのでなく、自己自身の内に求めよ、ということでしょうか。寺院などの入り口に、この張り紙があるのは、転じて、履物を揃えることで「自己開明の第一歩」とする。そんな意味でしょうか。