木魚歳時記第4913話 

 正月二日から食欲不振になったが、両三年来衰えていた目と耳はとは、逆に以前の聡と明とにかえり、念仏もいつもより盛んになっていた。十一日には極楽の聖衆の来迎(らいこう)、二十日には阿弥陀仏の顕現(けんげん)があったらしい。二十四日の宵から二十五日の午前中の懸命な高声念仏(こうしょうねんぶつ)は昼に近づい声が衰え、時々高声がまじるだけになり、年来所持の慈覚大師の九条の袈裟(けさ)を着けて頭北面西(ずほくめんさい)、光明遍照(こうみょうへんじょう)の文を誦しながら、太陽の中天にかかつた時、、寿八十で示寂された。
(佐藤春夫 付録章『一枚起請文』)

                    蓮の実の飛んで三千大世界

 「蓮の実」は秋季となります。さて、敗荷(はいか)、つまり、蓮の実の飛んだ跡を観るとわかります! 三千大世界は大袈裟(おおげさ)としても! 放映されるドキュメント「世相」の現状には驚きます(汗)。いまほど、人間社会の「共存」が求められる時代はありません!