法然にとっては愛することだけで十分なので、その願いに愛されようなどとそんなさもしいことは夢にも望まない。彼は阿弥陀仏の愛を彼女に取り次ぐだけだから、その願いは阿弥陀仏に捧げてもらいたかったのであろう。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1379
はじっこに山姥ゐたり薬喰
山姥(やまんば)とは、深山に棲む鬼女のことです。文芸上に登場する山姥は、男を摂って食いそうな怪女です。寒中に滋養を摂る「薬喰」の車座を作るとき、たとえ鬼女あろうと、山姥も来て坐って欲しい。こんな「虚構」「妄想」の世界は大好きです。これからも再三登場いたします(汗)。