木魚歳時記 第177話

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鮟鱇の 化けの皮まで 喰ひけり

 昔は葬送(土葬)のとき、墓に「土産だんご」と「置きだんご」の二種類を供えたそうです。「土産だんご」は、お浄土へと旅立つ故人の「みやげ」として用意し、「置きだんご」は、故人が、この世に残した者たちへの、今生の別れの<しるし>として用意したものです。後者は、現在でも使われる<置き土産>の語源の一つともいわれます。

 興味があるのは、葬送のときに、あの世(冥土)に旅立つ者と、「娑婆」(しゃば)に残る者との関係です。両者の間に、具体的な心遣い(コミュニケーション)が図られたことです。

 「ナムアミダブツ」とは、お釈迦さまの時代のインド語で「お浄土のアミダ仏さま、お浄土に旅立つ故人をよろしくお導きください。」の願い、祈りであります。故人の「往生」(おうじょう)を祈り、願う…この「ナムアミダブツ」こそ、なによりの「土産だんご」といえるでしょう。

   「庚申の 明日は出番と 御身拭ふ」