木魚歳時記第4044話

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 第十六章 山上の清風
(一)崇徳院が白峰で崩じた翌年、久しぶりに黒谷に帰った法然房を見ると、師匠の叡空は別に父の死をも告げず、いつもの慈眼をかがやかしながらも、言葉の調子を鋭くいきなり、
「一得永不失は如何」
と問いかけた。円頓戒の精神はどうしたかと、多少しかるような気味なのである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)712

       狐火をトングでつかむ大僧正

 「ボクの細道]好きな俳句(1791) 有馬朗人さん。「街あれば高き塔あり鳥渡る」(朗人) 高き塔とは、東京タワーのようなもの? 仏塔のような祈りの空間? ボクは、韓国と北朝鮮人民共和国の休戦ライン「板門店」を北朝鮮側から訪れたことがあります。或る種の緊張の中で、この「中立地帯」を、自由に行き来できる渡り鳥のことを思いました。

 鶸(ひわ)7 父は、この言葉に逆ろおうとしなかった。
翌日になって、私は籠が空になっているのを発見した。父もそこにいて、私のびっくりした様子をちゃんと見ていた。