木魚歳時記 第1914話

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 師は答えた。「わが筏(いかだ)は、すでに堅固(けんこ)に組まれ、よくつくられていたが、激流を克服してすでに渡りおわり彼岸(ひがん)に到着している。もはや筏の必要はない。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」(スッタニパータ)

 筏(いかだ)とは、釈尊の教え(悟りの内容)を指します。すなわち仏教のことです。激流とは、私たちを襲う<心の悩み>つなわち「煩悩」(ぼんのう)をヒマラヤの雪解け水に喩えたものです。釈尊の教え、すなわち仏教は、すでに堅固に組まれた筏のように、多くの弟子(信者)を乗せて彼岸(悟り境地)に達している。もはやどのような苦難(雨)が襲うことがあったとしても心配することはない。仏教の教えを知らない以前にもどることはないと説くのです。

       紅梅の逆とんぼりに吸はれけり