木魚歳時記 第1921話

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 牛飼いダニアはいった「牛を繋(つな)ぐ杭(くい)は、しっかり打ちこまれていて揺(ゆる)ぐことがない。ムンジャ草でつくった新しい縄(なわ)はよく綯(な)われている。子牛もこれを断(た)つことができないであろう。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」(スッタニパータ)

 ところで、放牧の目的の一つに牛たちの繁殖(はんしょく)があります。そのためには、種の保存をつづける自然環境(牧草地)を求めることが必要であります。ですから、ダニヤも牛たちも、豊かな牧草を求めて遊牧してさすらうことになるのです。ただし、放牧の牛たちが野生に戻ってしまわないよう、夜は、柵の<杭>に繋(つな)ぐ作業も必要です。放牧と結縛(けつばく)の繰り返し、これが牛飼いたちの大切な仕事となるのです。 

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