木魚歳時記 第1747話

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 濡髪さん

 知恩院がつくられたときのことじゃ。 本堂に童子(わらし)が坐っていてのう「自分は、昔からここに棲んでいる白狐じゃが、お寺ができて棲む処がなくなり困っています」 と、寺の僧に告げたそうな。 そこで僧は、お寺の裏山に白狐の棲む処をつくってあげたそうな。すると翌日、その童(わらし)が僧のところにお礼にきてのう「末代までこのお寺を守ってあげる」 そう約束して帰ったいったそうな。 この白狐の棲家は、後に、濡髪堂(ぬれかみどう)と呼ばれる ようになったそうじゃ。これが濡紙に通じるところから、花街の<きれいどころ>の参詣も多いそうじゃ。 〈総本山知恩院:東大路新門前〉

    春がきた子猫のやうにしなやかに