犀の角のごとく独り行くべし
禅宗(ぜんしゅう)の祖である達磨大師(だるまだいし)は、壁(かべ)に向けて九年間の坐禅(ざぜん)をへて悟(さと)りに至られたと伝えられます。これが<七転び八起き>の格言の源との説もあります。
初期に成立した教典(きょうてん)群である『スッタニパータ』(『経集』)に、釈迦(しゃか)のことばとして「寒さにも暑さにも 飢(う)えにも渇(かわき)にも 風にも雨にも打ち勝って 犀(さい)の角(つの)のごとく独(ひとり)行くべし」の偈文(げもん)があります。いかなる苦難にも独りで立ち向かう勇気と、いかなる苦難にも耐(た)えて屈しない強い意志こそ、仏教者のとるべき態度であることを教えます。