木魚歳時記 第791話

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 報恩寺(ほうおんじ)には、中国で描かれた虎(とら)の絵があるそうじゃ。これが上手に描かれていてなあ。離れて見ると、いまにも動きだしそう見えるそうな。

 「人間は、欲に、
     手足の付たる物そかし」(伊原西鶴

 昔、秀吉が聚楽第(じゅらくだい)にいたころ、この虎の絵が気にいってなあ・・聚楽第(じゅらくだい)に持ち帰ったそうじゃ。ところが夜になると、おどろおどろしい音が聞こえてくる、これは「虎が寺に帰りたくて鳴いている」。そう考えた秀吉は、虎の絵を寺に返したのじゃ。以来、この絵は「鳴虎(なきとら)の図」と呼ばれているそうな。また、この寺には「つかずの鐘」という悲しい物語も伝わっているそうな。<報恩寺:小川通寺之内下ル>

    仏塔の影うごきだす朧の夜