木魚歳時記 第166話

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露寒や 岸辺にもどる 水の声

 「変態」とは、もっぱら、その行動が「変な男」。と解されています。しかし、生物学的な「変態」とは、蛹(さなぎ)が蝶に羽化する、つまり、その発達段階のコペルニクス的展開を意味する大自然の現象です。すなわち、卵から幼虫が生まれ、数回の脱皮を繰り返し、蛹(さなぎ)となって仮死状態に入ります。そして、殻を破って成虫としての蝶が羽化する。つまり、結晶体、流体、固体、有機体と形態変化する、自然界の素晴らしいプロセスです。

 さて、仏教の教えは、欲望→執着→苦→内省→悟り、という精神構造のプロセスをたどります。この仏教の執着から悟りにいたるプロセスは、先に述べた自然界の「羽化現象」のプロセスと酷似していることに驚きます。ところで、ぼく自身は「変態よい子」です。ならば、ついに、黒あげはと羽化してお浄土へ?いや、火蛾となって奈落に堕ちるでしょう。

   「ビルの街 風になぶられ 秋の蝶」