木魚歳時記第4779話

 熊谷は、鎌倉、郷関(きょうかん)、京洛の間を往還し、また今度の中国筋旅行など、広く歩いて国土の遠近を見るにつけて、宮闕(きゅうけつ)にも、鎌倉幕府の屋形にも、摂関家の奥にも、この中の房ほど透明に静かな明るさの降りそそいでいるところはどこにもないと見た。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1413

      どこの子か両手に蝉をにぎりしめ

 どこの子か? 近所の悪童(わらし)です。スポーツの万能選手でした。蝉をにぎりしめとは? いちばんでかい熊ゼミを、二匹も指に挟んんでいました。この子は、遠足も、スポーツも、自転車の二人乗りも・・なにもかも仲良しでした。あの頃から、すでに半世紀以上が過んでしまいました(汗)。