空には一片の紫雲が地上から五尺ばかりのところに浮かんでいる。どこかに往生の人がいるらしいと見ていると、その雲がすぐ、頭上に飛んで来た。
(佐藤春夫『極楽から来た』)799
音のしてやがて現はる春の水
「ボクの細道]好きな俳句(1881) 永田耕衣さん。「いづかたも水行く途中春の暮」(耕衣) 茶色の冬草に覆われ、立ち涸れ状態であった水路もよみがえる春です。春は「いのち」の蘇る季節です。松ヶ崎のあたりには、まだ、こうした(冬草に覆われた)水路も多く、小径に沿って歩くと、やがて、チョチョロと水音がしてきます。そして水路が姿を現して来ます。
をやのこころの、たのしまれるわ、
をやのこころが、わがものよ。
『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)