木魚歳時記 第3904話

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 「例の法然房とやらは近ごろどうしているかな」
「相変わらず山を出たり入ったり、諸山の法蔵でしきりと何か暗中模索している様子。世にも尊い学生(がくしょう)と愚息めも感心いたし居ります」
「道はまだ見つけぬか」
「はっ」と伊通はわが事のように恐懼(きょうく)した。
(佐藤春夫『極楽から来た』)587

         秋空を西へゆるゆる羊雲   

 「ボクの細道]好きな俳句(1653) 森 澄雄さん。「寒鯉を雲のごとくに食はず飼ふ」(澄雄) 養殖ならいざしらず。池の鯉を食う人はいないでしょう。ただし、池の鯉がふえることは望ましいことです。「雲のごとく」がそのあたりをうまく現して素敵です。さて、「お坊さんはお経を終えるとすぐ帰ってしまう!」ズキッ。耳の痛い話です。そうした僧侶をなくすために・・僧侶養成機関(東本願寺)が動き出すようです。

 山羊(やぎ)4 彼が通ると,或る連中は鼻をつまむ。或る連中は却(かえ)ってその風情を愛する。
 彼は右も見ない左も見ない。尖った耳と短い尻尾(しっぽ)で、まっしぐらに進んで行く。人間どもが彼に罪をなすりつけてところで、それは彼の知ったことではない。彼はしかめつらしい顔をして、数珠(じゅず)つなぎの糞(ふん)を落として行くのである。