牛飼いダニアがいった「わが牧婦(妻)は従順であり、貪(むさぼ)ることがない。久しく共に住んできたが、わが意(こころ)に適っている。彼女にいかなる悪のあるのを聞いたことがない。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」(スッタニパータ)
ダニアの伝える詩句の内容は、現在のわたしたちの社会において望まれる状況とそう変わりがないわけであります。しかし、カースト(四姓)制度が厳然と行われていた古代インドの社会にあっては、とりわけ、理想的な妻の姿を描いたものであったといえるでしょう。「貪る」(むさぼる)とは、さきにも触れたように、私たちの有する三大「煩悩」(三毒)の中の一つを指します。
彼岸さてこちらの岸で深呼吸