鼻の話
妻をたいそう愛している夫がいました。その妻は容姿端麗でありましたが、残念なことに鼻だけがすこし低いのが玉に疵でありました。夫もそのことを少し気にしていました。或る日、夫が町に出たとき大変に美しい鼻をした女性と出会いました。そこで無理をいって、その女性から鼻だけを譲ってもらうことにしたのです。夫は、さっそくその鼻を家に持ち帰り、いやがる妻の鼻とつけ替えることにしました。もちろん、うまくゆくはずはありません。結果、とうとう鼻なしの妻という、とんでもない結果となってしまったということであります。