木魚歳時記 第1738話

f:id:mokugyo-sin:20140113072641j:plain

鵜と鴉

 沼のそばに、鵜(う)と鴉が棲んでいました。鵜が、いつも沼に潜って美味しそうな魚をつかまえるのを見た鴉は「鵜と仲良しになれば魚をつかまえる方法を教えてもらえるかもしれない・・」。そう考えた鴉は鵜の家来となりました。そのうち、鴉はとんでもない考え違いを起したのです。「体つきも、真っ黒な色も、鵜と俺はそっくりだ。鵜のやれることなら俺にも出来ないはずはない。水に潜れば魚にありつけるだろう」。そう考えた鵜は、勢いよく水に飛び込みました。ところがたちまち水草にからまり、ふたたび浮いてくることはありませんでした。

     老僧の背(せな)のきしみや冴返る