木魚歳時記 第1739話

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ワニと猿

 川岸にいたワニが、木の上の猿の王を見てその肝(きも)を食いたくなりました。そこで猿の王にいいました「向こうの岸に渡ればマンゴーが熟れていますよ。わたしが連れて行ってあげましょう」。猿の王はその誘いに応じてワニの背中に乗せてもらいました。川の中ほどまで来ると、おろかなワニがいいました「ところで猿さん今日はおまえさんの肝はお忘れでないでしょうね?」。そこでワニの悪巧みに気がついた猿の王は「あいにく肝は岸に干してきました。取りにもどろりましょう」。もとの岸に着くなり猿の王はすたこら行ってしまいました。 

    早春の念仏(ねぶつ三昧禿かぶろ居士