木魚歳時記 第1065話

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正直を友とす (石川 洋)

 『手を切られたら足で書かうさ 足を切られたら口で書かうさ 口をふさがれたら 尻の穴で歌はうよ。」(小林秀雄
 上記を見て思い出すのは、大西順教尼のことです。明治犯罪史上にも残る「堀江の六人斬り」で両手を切り落とされた芸妓妻吉(後の順教尼)は、その後、数奇な一生をたどりながら、ついに京都の山科に自在会(じざいかい)という障害者の福祉施設を開設して障害者のために生涯をつくされました。順教尼に次のようなお歌があります。
   
    何事も成せばなるてふ 
        言の葉を胸にきざみて
            生きて来し我れ(順教)

      仏手柑落ちて天地の鳴動す