木魚歳時記 第221話

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祭見の どこも動かぬ 点と線

 「弥勒菩薩」(みろくぼさつ)は未来に現れるという菩薩さまです。すなわち、釈迦滅後57億年ほど先にこの世に現れるという救済者(菩薩)のことであります。

 弥勒信仰(未来の救済者出現)はインド・中国においても盛んであったようですが、日本においても飛鳥時代よりこの信仰が高まり,とりわけ中世の「末法」(まっぽう)思想の影響もあって、「末法の世を救う」救済者への期待は大きくなったのでしょう。

 弥勒信仰が仏教美術に与えた影響は大きく、右脚を左脚の上にのせ、右手は頬に触れて「半跏思惟」(はんかしゅい)の姿勢をとる仏像が多く作られました。その中でも中宮寺、野中寺、広隆寺などの弥勒像は有名であります。
 こうした弥勒信仰がさ盛んとなったのは、「末法」(まっぽう)のように将来に対する不安感が原因であつたこともありましょうが、釈迦の教え(仏教)の「諸行無常」(しょぎょうむじょう)の教えに対して、凡人の「癒し」への期待がその根底にあったものとぼくは考えています。

     「新茶さて 点心こその 楽しけれ」