木魚歳時記 第210話

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神苑は 花百珍の 艶くらべ

 大黒(だいこく)とは、古代インドの「マハーカーラ」のことです。マハーとは<大きな>であり、カーラとは<黒い>であります。ですから、マハーカーラとは「偉大な黒い神」となります。また、マハーカーラは、ヒンズー教シヴァ神(大自在天)の別名です。したがって、マハーカーラは破壊(死)と創造(招福)の両面を備えます。その創造(招福)のご利益が大黒信仰を、また、大黒柱の習慣へ習合したのです。

 義浄三蔵が著した『南海帰内伝法』という書物に「(インドの)諸大寺の食厨・門前に、木彫り黒色の像を祭りて神体となす。号して<莫訶哥羅>という…」の記述があります。この記事が根拠となって、寺院の厨(台所)に大黒神を祭り、そこを根城とする寺の奥方を<大黒さま>と呼ぶようになったのです。

 ぼくの寺にも、厨にかぎらず寺全般を支配する「大黒神」(マハーかあちゃん)が君臨されています。そして、ぼくはつねに、その「飴とムチ」(慈愛と脅威)にさらされているのです。

     「朧夜や まぶたの白い 大鴉」