木魚歳時記 第129話

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滴りて 炎青めく 不動尊

禅師怒る

 さて、禅師の弟子となった孫悟空は、昼は、掃き掃除に田畑を耕し、花や木を育て、たきぎを集め、水を運んで過ごします。そして、夜になると弟子たちが一緒に、禅師から儒家・道家・釈家・墨家・医家・降聖(かみおろし)の講義を聞くのが日課でありました。そうこうするうちに、はや、四、五年が経ってしまいました。

 その日も、お説教が続きますと、つい、石猿の小生意気な本性が鎌首をもたげてきます。そこで「このようなことを学んでいて、不老不死は本当に得られましょうか?」と、禅師にまことに不埒なことを尋ねてしまいます…それは「水の中で月をすくうようなもの」。とてもおまえに「不老不死など得られぬわい」。と、ピシャリ断られたからたまりません。悟空も、よせばいいものを、それでは「約束が違いまする」「意味がありませぬ」と、ほざいてしまいました。それを聞いて、禅師は立腹され、そのまま居間に籠られます。