2014-01-08から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1459話

二兎を追う者は一兎も得ず 二羽の兎をいちどにとらえようとすると、兎はジグザグに分かれて逃げるから、その一羽すら手に入らない。二つのことを同時にすると、どちらも中途半端になって成功しない。この教訓として用いられる西洋の諺(ことわざ)です。 さ…

木魚歳時記 第1458話

猫かぶり 猫にかかわる諺(ことわざ)の代表格はなんといっても「猫かぶり」です。悪事を隠して知らんふりすることです。つまり、頂戴してもいいんでしょうか?と遠慮しながらもう手を出している男。あら、かまぼこはお魚(トト)かしら?なんてとぼける女。…

木魚歳時記 第1457話

猫またぎ お魚が大好きな猫でさえ跨(また)いで通り過ぎるという、つまり、それほどに「まづい」魚のことを指します。それが、どのような魚を指すのかは地方により異なるようです。 それはともかく、「猫いらず」「猫まんま」「猫背」「猫の額」「猫ババ」…

木魚歳時記 第1456話

猫に小判 値打ちのわからないものに対しては、何をいったところでしかたがないの意味となります。これと似たことわざに「馬の耳に念仏」「豚に真珠」「犬に論語」などがあります。 ところで、これと反対に、人間さまの中にはよくわからないのにわかっような…

木魚歳時記 第1455話

犬に肴の番 よく仕込んだ犬なら「おあずけ!」の一言で涎(よだれ)をたらし、一時間でも肴の番をします。犬にとっては辛い話でしょうが。同義のことわざに「猫に金魚の番」があります。美しい若い娘のお供に若い男をつけて旅に出すことです。 これと反対のこ…

木魚歳時記 第1454話

犬猿の仲 二人が出会うと、必ずといってもいいほど喧嘩が始まる二人を称して「あの人達は犬猿の仲だ」と称します。 ほんとうにそうでしょうか?木登り上手の猿と、走ることが得意の犬とではテリトリーが違うわけですから、犬と猿とでは喧嘩にならないのが本…

木魚歳時記 第1453話

負け犬の遠吠え 「咬み合い」までせず、すこし距離をおいて威嚇の牙を剥いて吠える犬を指して云います。 臆病者がかげで虚勢を張り、陰口や悪口をする喩えとして用いられます。また、犬の遠吠えが不幸をまねくという俗信は全国各地にあり、こうしたことがベ…

木魚歳時記 第1452話

飼い犬に手を咬まれる そもそも犬は従順な動物ですから、犬の習性をよほど知らぬ人が、よほどその扱いを誤らないかぎり、咬まれることはないはずです。ましてや、その犬が飼犬ともなれば・・ その、日ごろから可愛がり大事にしてきた飼い犬に咬まれたのです…

木魚歳時記 第1451話

犬も歩けば棒にあたる すこし意味合いは違いますが「出る杭は打たれる」。つまり、ちょこまか出歩くから棒で打たれる。出しゃばるのは損だ。とこうなります。 チャンスを掴みたいなら、じっとしないで動きなさい。なにかいいことに出会います。以上、正反対…

木魚歳時記 第1450話

蛇足 蛇足(だそく)とは?もちろん蛇に足の有るはずがありません。絵に描いた蛇に足を描き添えて嘲笑を買った画家がいたそうです。 つまり、おしまいに余計なモノを付け加えて、すべてをダメにしてしまうという中国の故事に由来します。ところで蛇足とは、…

木魚歳時記 第1449話

藪蛇 ヤブヘビという種類の蛇がいるわけではありません。「藪(やぶ)を突いて蛇を出す」。つまり、余計なことをして災いを招くことです。 このぼくは、人生の大半を「せいでもよいことに精を出し、しなければならないことを疎かにして」人生の大半を棒に振…

木魚歳時記 第1448話

雪の降るまちを 雪の降るまちを 雪の降るまちを 想い出だけが 通りすぎて行く 雪の降るまちを 遠いくにから 落ちてくる この想い出を この想い出を いつの日か包まん あたたかき幸せのほほえみ 内村直也作詞。昭和28年、NHKの歌番組「ラジオ歌謡」で放…

木魚歳時記 第1447話

椰子の実 名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ 故郷の岸を離れて 汝(なれ)はそも波に幾月 島崎藤村作詞。明治33年、藤村が『海草』に発表したのが初出だそうです。渥美半島の伊良湖岬に旅をした柳田国男より、椰子の実の漂着していた話を聞いた藤…

木魚歳時記 第1446話

桃太郎 桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけた黍団子、一つわたしに下さいな。 作詞者不詳。明治44年『尋常小学唱歌』に掲載されました。「桃太郎の話」は、江戸時代から木版絵本なども作られていたそうです。小さく生れついた桃太郎が、大事業を成し遂げる…

木魚歳時記 第1445話

牧場の朝 ただ一面に立ちこめた 牧場の朝の霧の海。ポプラ並木のうっすらと 黒い底から、勇ましく 鐘が鳴る鳴る かんかんと。 作詞作者不詳。昭和7年『尋常小学唱歌』に加えられました。作詞者は特定されていませんが、明治・大正期のジャーナリスト杉村楚…

木魚歳時記 第1444話

蛍の光 ほたるのひかり、まどのゆき、書(ふみ)よむつき日、かさねつつ。いつしか年も すぎのとを、あけてぞ、けさは、わかれゆく。 スコットランド゙民謡。作詞者不詳。明治44年、文部省教科書『小学唱歌集』に掲載されました。スコットランド民謡「久し…

木魚歳時記 第1443話

蛍 蛍のやどは川ばた柳、柳おぼろに夕やみ寄せて、川の目高が夢見る頃は、ほ、ほ、ほたるが灯をともす。 井上赳作詞。昭和7年『尋常小学唱歌』に発表されました。蛍が飛び交う初夏の川辺の自然の情景を歌った素朴な歌詞が愛されたのでしょう。広く親しまれ…

木魚歳時記 第1442話

菩提樹 泉に添いて 茂る菩提樹 したいゆきては うまし夢見つ 幹には彫(え)りぬ ゆかし言葉 うれし悲しに といしその蔭 といしその蔭 近藤朔風訳詩。ドイツの詩人ミユラー作詞、シューベルト作曲の歌曲を、明治の末に朔風が訳詩したといわれています。さて…

木魚歳時記 第1441話

故郷 兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川、夢は今もめぐりて、忘れがたき故郷。 高野辰之作詞。大正3年『尋常小学唱歌』に発表されました。故郷の自然の風景を歌った唱歌として、児童のみならず、青年や大人にも親しまれ歌い継がれてきました。さて「俳句は…

木魚歳時記 第1440話

春の小川 春の小川は さらさら流る。岸のすみれや れんげの花に、においめでたく 色うつくしく 咲けよ咲けよと ささやく如く。 高野辰之作詞。大正元年、『尋常小学唱歌』に発表されました。春の美しさを小川に託した歌として歌い継がれてきました。さて「社…

木魚歳時記 第1439話

春が来た 春が来た 春が来た どこに来た。山に来た 里に来た 野にも来た。 高野辰之作詞。明治36年、『尋常小学校読本』・「野あそび」の中に学校唱歌として引用されたのが初出だそうです。一連の高野作品の中で、音楽教材作品としては平凡な水準にあると…

木魚歳時記 第1438話

浜辺の歌 あした浜辺を さまよえば、昔のことぞ、しのばるる。風の音よ、雲のさまよ、よする波も、かいの色も。 林古渓作詞。大正2年、東京音楽学校の雑誌『音楽』に発表されました。とりわけ、思春期から青春期の女性の間で長く愛唱され歌い継がれてきまし…

木魚歳時記 第1437話

埴生の宿 埴生の宿も、わが宿、玉のよそい、うらやまじ。のどかなりや、春のそら、花はあるじ、鳥は友。オーわがやどよ、たのしとも、たのもしや。 里見義(ただし)再歌。明治22年、文部省『中等唱歌集』に発表されました。欧米人の作詞した歌曲が、再歌…

木魚歳時記 第1436話

野中の薔薇 童は見たり、野中の薔薇。清らの咲ける、その色愛でつ、飽かずながむ。紅におう、野なかの薔薇。 ゲーテ原詩・近藤朔風訳詩。文語体の訳詩ですが、大正・昭和期の中学生・女学生に愛唱され、戦後は中学・高校の音楽コンクールで親しまれてきた唱…

木魚歳時記 第1435話

野菊 遠い山から吹いて来る こ寒い風にゆれながら、けだかく、きよくにおう花。きれいな野菊、うすむらさきよ。 石森延男作詞。昭和17年、『国民学校初等科教科書』(3学年用)に発表されました。ゆったりとした旋律と優美な歌詞により、おとなびた印象を…

木魚歳時記 第1434話

夏は来ぬ うの花のにおう垣根に、時鳥(ほととぎす) 早もきなきて、忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ 佐佐木信綱作詞。この歌の歌詞は、大正15年、小山作之助編『新選国民唱歌(第2集)』が初出だそうです。しかし、昭和15年年頃、当時唯一のラジオ番…

木魚歳時記 第1433話

夏の思い出 夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空 霧の中に うかびくる やさしい影 野の小径 (後略) 江間章子作詞。昭和24年、NHK「ラジオ歌謡」で流され、大人のみならず子どもたちからも愛唱されてきたホームソングです。この歌を口ずさむと、みん…