木魚歳時記第4883話 

 といわれて、二人のたくましい若者はどしりと座敷へ上り込む。おやじは、彼らを引き合わしていう。
「この若い衆たちは今ほど話した頼もしい赤鬼、青鬼どのだ。それでこちらお父っつあんはわしも永年世話になっている兄貴だ。この兄貴がお前さんがたにいい仕事を下さるとよ」
と、店のおやじは、赤鬼の耳に口を寄せて囁(ささや)き、
「・・・わかったな。それで自然酒手も出すわ。兄貴にお礼は忘れまいぞ」
(佐藤春夫『極楽から来た』)

        結界にへばりつきたる火入虫

 「火入虫」は夏季となります。「火蛾の舞」としたいのですが! さて結界(けっかい)とは? 寺の本堂と庫裏(くり)の境界です! つまり、修行と生活の間(はざま)のことです! ぼくの「煩悩」がくすぶる接点です!