木魚歳時記第4744話

f:id:mokugyo-sin:20220403084213j:plain

 此処ではじめのほどは、法然上人とも黒谷上人とも呼ばれていないのを見ると、東山に移ったころでも、まだ単に一部に知られた学解の高僧にしか過ぎず、市井一般の人々にはゆゆしい念仏の祖師として、あまねくは知られていなかったらしい。(佐藤春夫『極楽から来た』)1381

         少年に酢の匂ひして竹の秋

 体の一部に酢の匂を感じたというのです。それを妖しい感覚と読むか、フムとうなずくかは読者の自由であります。「竹の秋」(春季)は、竹林が春に黄ばんで枯るような状況となることを指します。季語と官能的な「酢の匂」を響き合わせるのがネライです。