木魚歳時記第4007話

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 かの「市の聖」空也上人が、はじめ布教地としたのは、庶民の往来の多い下京ああたりが主であったが、精舎(しょうじゃ)を構えるにあたっては、川を越えて、当時全く閑却されていた六波羅の地を相して、ここに自刻の十一面観音を安置して西光寺といったのが、後に六波羅密寺と改称されるにおよんで、信仰の地としておいおいとこの地も人馬の往来も頻繁となり、人煙も次第に立ちこめるに至ったのである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)680

        表札を揚ない団地うそ寒し

 「ボクの細道]好きな俳句(1754) 秋元不死男さん。「蝿生れ早や遁走の翅使ふ」(不死男) 蠅とか、蛇とか、油虫とか・・彼らはどうして、見つかると叩かれるのでしょうか? 蛇蝎(だかつ)との語彙も、あるにはありますが。孵(かえ)ったばかりのハエ。まだ、翅(なね)も固まらないのに逃げだすとは・・遁走(とんそう)と明るくとらえたところが秀逸です。

 鹿3 やがて、枝が横に張って、ちっとも葉のついてない、いじけた小さな樹(き)が見えて来た。