木魚歳時記 第1725話

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 貧者の一灯

 貧しい老婆が住んでいた。在る日、多くの人達から慕われている聖者が町にやって来ることを知り、少しばかりの灯し油を寄進したいと考えた。そこで、茶碗に半分ほどの灯油を買い求め、聖者のところに持ってゆき供養した。その夜、町に嵐が襲ってきた。ところで、大勢のお金持ちたちの寄進した油で灯した「明かり」は、そのほとんどが消えてしまったが、老婆がわずかばかり寄進した油で灯した「明かり」は、嵐の中でも消えなかったという。

    湯豆腐のこれがまことに熱いもの